数年前に志帥塾という勉強会で知り合った荒川祐二さんが桐生の樹徳高校の緑蔭祭で「半ケツとゴミ拾い」というテーマで記念講演をしました。
知り合った当時は上智大学に入学したばかりの学生でしたが3年前に、「自分を変えたい」という一念から、たった一人で新宿駅東口のゴミ拾いをはじめました。ヤクザにツバを吐きかけられたり、「偽善者」と言われたりの屈辱を受け、もうダメだと続けることを諦めかけた時にホームレスの石浜さんというオジサンが手伝ってくれるようになりました。いつもズボンが半分ずり落ちて「半ケツ」状態。毎朝「はじめまして」というのが口癖のチョッと変わった石浜さんが手伝ってくれるようになってから荒川さんも続ける決心がついたということです。石浜さんと二人のゴミ拾いが続くうちに一人二人と仲間が増えました。そして、1ヶ月が過ぎたころ、「偽善者!」とののしり、顔にツバを吐いたあのヤクザのおじさんが無言で缶コーヒーを差し出し、そして小さな声で「いつもありがとうな」と言いました。たった1本の缶コーヒーと「いつもありがとうな」のひと言が素直に嬉しかったそうです。
1,000人以上の生徒と関係者が集まった感動的な講演会が終わったあと、荒川さんを富弘美術館へ案内しました。修学旅行らしき小学生の団体が帰りはじめた館内でゆっくりと富弘さんの作品を見てもらい、荒川さんも感動していました。
「私にできることは小さなこと でもそれを感謝してできたら きっと大きなことだ」という富弘さんの詩画の前で荒川さんの話を思い出していました。