「大間々ナイトアーカイブス」が終わり一段落し、読みたいと思っていた『蜩ノ記』を読みました。時代は江戸時代後期。寛政から文化・文政年間は大間々の町では近江商人が地盤を築き、賑わいはじめた時代です。そんな時代背景を思い浮かべながら読んでいるといっそう興味深くなり、物語の世界に引き込まれました。
武士としての生き方を全うした主人公の戸田秋谷(とだしゅうこく)に向かって、秋谷をライバル視していた策略家の家老・中根兵衛門が最後に「不思議だな。そなたは目立ったことをなすわけでもないのに、関わる者は生き方を変えていくようだ。心がけの良き者はより良き道を、悪しき者はより悪しき道をたどるように思える」と語ったシーンが印象的でした。夫婦愛、家族愛、友情、師弟の絆などが心に沁みてきて、結末は悲劇なのになぜか清々しい余韻を残す小説でした。
昨夜は1日遅れの結婚記念日で愛妻と二人で食事をして『蜩ノ記』を観に行ってきました。8時半からの上映とはいえ、定員119席の場内には私たち2人だけでした。真ん中の席に座り、2,000円で貸し切りで感動の映画を満喫してきました。