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『虹の架橋』とともに大間々の地域情報紙として親しまれている『すえきマリオン』に「陰徳あれば陽報あり」という拙文を寄稿しました。 チョッと長くなりますがご紹介させていただきます。 10年前から仲間といっしょに続けてきた大間々駅トイレ掃除が2月9日で500回を迎えました。一週も途切れることなく続けられたのは一緒に掃除をしてきた仲間の御蔭であり、温かい言葉をかけてくれたり、陰で応援してくれた多くの人たちの御蔭です。 長い年月の間には目を背けたくなるようなひどい汚れの時も何度かありました。洗面台から嘔吐物が溢れ、床まで汚れている時などは逃げ出したくなるほどでした。でも、自分たちがやらなければ次に入ってくる人が同じように嫌な思いをすると思うと心が決まり、手が動きだしました。きれいになってゆくと気持ちも穏やかになり、「吐いた人は、よほど気持ちが悪かったのだろう」とか「無事に家まで帰れただろうか」と見知らぬ相手を気遣う心のゆとりも生まれてきました。 500回の節目にイエローハットの創業者で「日本を美しくする会」の鍵山秀三郎さんをお招きして、大間々南小学校で「心はひろく」という講話と校内のトイレ掃除の実習を行いました。鍵山さんの話を聴き、トイレ掃除を体験した児童の感想文を読むと、鍵山さんの願いが子供たちの心にしっかりと伝わったことが感じられ、嬉しくなりました。 「…これからは、どんなことでも面倒くさがらず、きちんとやっていきたいです。そして、お母さんやおばあちゃん達に感謝して、苦労をかけないように、たのまれたことはすぐにやって、表だけでなく内面もきれいにしていきたいと私は、鍵山先生の話を聞いて本当に思いました。」 「…ぼくは鍵山先生の話を聞いて、トイレ掃除に対する思いが変わったような気がしました。『トイレ』、その言葉を聞くだけでイヤな感じがしました。けれど、今のぼくには、トイレは心をみがく場所になりました。…」 駅のトイレ掃除はいつも朝6時前から行っているので、私達が掃除をしている姿を人に見られることはめったにありません。「それでもやる、それだからやる」というのが「陰徳を積む」ということだと思います。誰も見ていないと思って続けてきた掃除ですが500回の掃除の記事が新聞に紹介された翌週、駅のトイレの洗面台の前に「いつもきれいにありがとう 祝500回 感謝」という色紙が置かれていました。色紙の回りには折紙で丁寧に折られた色とりどりの花が添えられ、それを見た全員が感激しました。 中国古代の「淮南子」(えなんし)という哲学書の中に「陰徳あれば陽報あり」という言葉があるそうです。陰徳とは人に知られず行う善行、陽報とは如実に表れる良報のことです。見返りを求めずに続けてきたことが結果として大きな感動や気づきや素晴らしい人たちとの出会いという何物にも代えがたい財産をいただきました。 10年後の2016年9月16日には、このトイレ掃除が1000回を迎えます。その時、この街も、この街に住む人たちの心も今以上に美しく、豊かになっていることを心から願っています。
by yachan405
| 2007-04-13 20:13
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